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デザイニング展2012にむけて。(2)ぼくらの地図

先日、岡本仁さん @man_in_cafetalk event『ぼくらのまち案内』の打合せをしているときに、「地図」の話しになった。「同じ地図でも、他の人が書き込んだ地図を自分の地図に重ね合わせた瞬間に、まったく違うまちにみえることがあるよね」と。確かに。人の地図は、その人の頭の中を覗き込んでいるような感覚になりますよね。

で、ここ最近、一番興味をもった地図が、ロンドンの Vahakn Matossian(バハカン・マトシアン) @vahakn のプロジェクト「Fruit City/フルーツ・シティ」。デザイナーであり、アーティストでもある彼が、ロンドンのまちで行う、パブリックプロジェクトなんですけどね。



昨年のデザインタイド @DESIGNTIDETOKYO に招待されていて、そこで知ったんですけど、ひたすら「果物/Fruit」を切り口に地図をつくっているんです(笑)。言葉で説明するとわかりにくいので コチラ → http://fruitcity.co.uk/the-fruit-map/



ロンドンの樹木になる「果物」を、みんなで地図にプロットしていくんです。だれでも地図に「果物」をプロットすることができて、それをみんなで共有しましょうと。そんなプラットフォームをつくって、彼がデザインしているものはこんなものでして。



他の果物を傷つけづに収穫するための竿?や、収穫した果物でジャムなんかをつくるモバイルキッチンだったり。ここまでくると、笑けてきません?「なんでそ んなことやっているんですか?」と質問してみたくなっちゃう(笑)。で、昨年の末にロンドンに行った時に、どうしても彼に訊ねてみたくて。



いろいろな人の協力があり、現地で会えることになって。そしたら、彼、「こんな時代に、つくり手が印象だけ与えてもしかたないでしょ?」と。確かに。「もし自分がまちの中でプロジェクトをやるなら、誰かの生きるための術になるようなことをしたいし、他のひとが持っている知恵を知りたい」とも。

素晴らしいなと思って、彼。通常の芸術のやり方って、日常の中に、非日常的な風景や造形を持ち込むことによって、その「日常」の見え方をかえてしまう、というものが多いように思うんです。でも、それって終わったときに、祭りの後の寂しさみたいなものが残りません?日常を否定されてしまったような。

でも彼は、ロンドンのまちの中に、「果物/Fruit」という誰もが知っている日常的な視点を持ち込むことによって、日常の風景を変えてしまうような新し い視点を提示したんです。「日常×日常=非日常」って、理想的だと思うんです。何も否定せずに、とても前向きな視点だけを与えてくれるというか。

で、いろいろと話しをしているウチに、彼もデザイニングでやっていることに、とても共感してくれたようで。いろいろお互いに共感する部分が多かったので、大親友になるまで2時間もかからず、その日は、彼の家のペントハウスに泊まることになりまして。夜は彼らの遊び場に連れ出してくれたり(笑)。

ちょうどボクがロンドンを訪れていた日が、彼の友人のバーが移転後のプレオープンだったようで、その夜、一緒にお祝いに行ったんですけど、そこでのバハカンと友人の会話が面白くて。そのバーのオススメは、彼らの手作りの「アップルサイダー」なんです。バハカン:これ、美味しいね→友人:そうだろ?

バハカン:で、このリンゴ、どこで手に入れたの?→友人:そこの道をあっちの方にいって、あの山の麓にリンゴの木があるじゃない? そのさらに奥で取って来たんだ!。。。ようするに、材料費はタダなんですね(笑)。って、この会話が自然に成り立っているって、可笑しいでしょ。

そんなやり取りをみているうちに、「彼が福岡に来たとしたら、どんな視点でまちをみて、どんな断面を提示してくれるんだろう?」と、それがとても知りたくなって、今年のデザイニングに招待することにしました。



当日は自分のことを「アクティビスト(活動家)」と呼ぶ(笑)Fabien Cappello ( http://www.fabiencappello.com/ ) も一緒にやってきます。5/5に福岡に到着して、5/10までは、ひたすら福岡を一緒にリサーチします。リサーチという名の素材集めなんですが。

彼らとまちを巡って集めてきた素材を材料にして、家具(らしきもの)をつくるワークショップをやります。誰が楽しみかって、主催者のボクたちが一番楽しみにしていると思うんですけどね(笑)。

最終的に、材料を手に入れた場所をしめす「マテリアル・マップ」と、ワークショップでつくられた家具を言葉とスケッチで記録(アーカイブ)した 「D.I.Y. レシピ」を、デザイニング展のウェブサイトで公開する予定です。ちょっと頑張れば、同じような家具を手に入れることができますよ(笑)。

ワークショップの詳細はコチラ→ Vahakn Matossian + Fabien Cappello WORKSHOP

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